【俺とロック 第2回】「ART-SCHOOL」というバンドについて
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「みんなはヘッドホンやイヤホンでどんな曲を聴いてる?」
という単純な問いから始めた音楽キュレーション記事「俺とロック」の第2回です。
今回は「ART-SCHOOL」について書いてみることにしました。
ART-SCHOOLはボーカルの木下理樹を中心とした4人組のオルタナティブ・ロックバンドです。残念ながら今年の2月に活動を休止してしまいましたが、数多くの名曲を残してくれました。
その魅力は、端的に言えば暗く内向的な音と感傷的な歌詞、ボーカル木下の悲しみを抱えた声と言えるかもしれません。
僕にとってART-SCHOOLは、人生の「暗い時間」を支えてくれた思い入れのあるバンドです。それ故に彼らの個々の曲や歌詞について説明することは、まるで自分の中身を見られているような恥ずかしさを感じてしまいます。
なのでここでは、ART-SCHOOLの名曲を時系列で、その音楽的アプローチとともに振り返ることにします。
直接的な「文学的アプローチ」をしたインディーズ時代
ART-SCHOOLインディーズ時代の名曲といえば「斜陽」。
タイトルは言わずもがな太宰治の同名小説から来ています。
初期のART-SCHOOLにはこうした文学的なアプローチが多く取り入れられていました。村上春樹、ボリス・ヴィアンなど、木下理樹が好きな文学世界を音で表現しようという試みだったのだと思います。
ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」を題材にした「ロリータ キルズ ミー」
ART-SCHOOL - ロリータ キルズ ミー - YouTube
「喪失感」がメインテーマとなっていく
2002年にアルバム「REQUIEM FOR INNOCENCE」でメジャーデビューを果たした彼らですが、順風満帆とはいきませんでした。翌年に「LOVE/HATE」をリリース後、メンバー2人の脱退が発表されたのです。
木下は解散も考えたようですが、熟考の末にバンドを続ける決心をします。
この頃からART-SCHOOLの音楽は「喪失感」が大きなテーマとして掲げられるようになったと感じます。
文学的なアプローチと喪失感というテーマがマッチした名曲「スカーレット」
ART-SCHOOL - Scarlet - YouTube
救いの無い強烈な喪失感を歌う「LOST IN THE AIR」
(PVの監督が豊田利晃というのも見逃せない)
[PV] LOST IN THE AIR - YouTube
「喪失感」の中から生まれた名盤「PARADISE LOST」
ART-SCHOOLは、インディーズ〜メンバーチェンジまでの初期が好きな人と、楽曲としてのポップ度が増した後期が好きな人に分かれるバンドです。
僕は文学的なアプローチが豊富な初期が好きですが、アルバムとしては、メンバーチェンジ後に初めてリリースされた「PARADISE LOST」が、彼らのキャリア全てを振り返っても一番だったと思います。
「喪失感」というメインテーマを中心に据えたコンセプトアルバムのような作品。初期のような衝動を叩きつける楽曲だけではなく、技巧を凝らしたアプローチを楽しむこともできます。
4つ打ちを大胆に取り入れた名曲「あと10秒で」
ART-SCHOOLを聴こうと思うと、数多くのアルバムがリリースされていて困るかもしれません。オリジナルアルバムを聴くのであれば「LOVE/HATE」か「PARADISE LOST」を推奨したいです。
そうでなければ「Ghosts & Angels」という素晴らしい選曲のベストアルバムがあるので、これを聴いてみるのが良いと思います。この中で、気に入った楽曲があれば、その楽曲が含まれたアルバムやEPをぜひ聴いてみて欲しいですね。
この記事が、あなたの音楽ライフを広げる役に立てればうれしいです。
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