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なぜソニーのNW-ZX100は期待通りの製品にならなかったのか?

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ども!すぎやまです。

昨晩はIFAのカンファレンスの話題で持ちきりでしたね。

ソニーからはオーディオ製品として、ウォークマン、ヘッドホン、イヤホン、スピーカーなど、多くの製品が発表になりました。

 

今回はそんな中から「NW-ZX100」についてちょっと考えたいと思います。

一応、発表を見てない方のためにソースも貼っておきます。(あえてのアスキー)

weekly.ascii.jp

 

ZX100は、大方の予想通りZX2の下位モデル(ZX1の後継)で、Android OSではなく独自OSの機種になりました。

 

こちらのトーク会でもOSの話は話題に出ていましたね。

www.phileweb.com

 

Android OSを採用してソフト開発費を安く上げているという誤解もあるが、ちゃんとGooglePlayを使えるAndroid端末を作るのには、莫大なコストがかかっているんです」

 

莫大なコストがかかっていたので今回は使用しなかったということでしょうか?

 

で、ここからが本題。

みなさんはZX100の発表をどう思いましたか?

 

グランド分離なし、32bit対応なし、DSDネイティブ対応なし、しかし代わりにノイズキャンセリングがついているというZX100。

ソニーが発表する新製品としては、物足りなさを感じた人も多かったのではないでしょうか。

実際、Twitterを眺めているとそのような意見が多く出ていたように思います。

 

なぜZX100はこのような形になったのか?それについて推察してみましょう。

 

1、ZX100はフラグシップではない

大きな前提として忘れてはならないのがこれです。

ソニーとしてはZX100を発売した後も、ZX2を売らなければなりませんし、PHA-3だって売らなければなりません。

ZX2も成し得ていない32bit再生やDSDネイティブなどを、いきなりZX100に投入するのは「ラインナップ戦略」を考えると難しそうです。

これが大企業特有の全体最適という発想で、我々が普通に考える「売れる商品 (部分最適)」とは少し違った発想になります。

 

一方で、部分最適の考えを持っているのはベンチャー企業や新規参入企業です。

例えばLotooのDAPは、上位モデルのPAW GOLDにバランス出力はついていませんが、後から発売されたPAW5000にはバランス出力が搭載されています。

販売戦略上は、少々ややこしくなりますが、持っているラインナップが2機種だけなので問題ないという判断なのだと思います。(上位を気遣ってバランスをつけないことの方が問題と考えたのでしょう)

 

ソニーはLotooよりは販売する規模も量もかなり大きいので、簡単にはラインナップ戦略を崩すことはできないのだと思います。

 

2、オタクの言うことを聞いても売れない

今回、ZX100には32bitやグランド分離の代わりにノイズキャンセル機能が搭載されました。これには不満を持った方も多いでしょう。ワタクシも「必要かなぁ?」と思いました。

ただこの意見は「オーディオオタク的な視点」であることを認識する必要があると思います。やはり、一般的な視点に立ってみれば、32bit対応、ましてやグランド分離なんて言われても分かるはずがありません。

 

自分がソニーの営業マンだったとして、詳しくないお客様にZX100の機能説明をするとしたら、絶対に32bitよりもノイズキャンセリングの方が魅力として伝えやすいです。

現実問題として、ZX100程度の価格帯の商品であれば「買う人はたいして詳しくない」という場合も往々にしてあるのです。(というより詳しいパターンの方がまれかもしれません。)

 

今回のソニーの判断としては、オタク受けする機能よりも、より一般大衆受けする機能の方を選んだということだと思います。

 

これまで挙げた2点は、大企業のマーケティングロジックではよく使われるものです。

とはいえ、これが正しいのかと言えば疑問はあります。

 

見えぬターゲット、見えぬポジショニング

今回のZX100、キャッチーな見た目や機能でありながら価格はハイエンドと、チグハグな印象は拭えません。オタクに向けたものなのか、それともライトユーザーにステップアップを促すものなのか、いまいち見えてこないのは問題です。

このように「誰が使っても良いけど、誰が使うのか分からない」という商品を出してしまうのが、いかにも大企業だなぁという印象です。

 

さらに言えば、ソニーはハイエンドDAPやヘッドホンの市場でのポジションも明確でないですね。リーダーとして市場に新しい技術をどんどん出していくでもなく、チャレンジャーとしてトガッた商品を出すでもない。(無線については新技術を打ち出していますが、積極的に広めていく姿勢は見られないように思います。)

 

その点、Astell&Kernはターゲットとポジショニングはしっかりできていますね。オーディオオタクにターゲットを絞り、その中で高級品というポジションをしっかり確立しています。

 

今のソニーの問題点は何かと言えば、結局ソニーファンのために、ソニーファンが買ってくれる製品」を作っているに過ぎないことです。ソニーにポジティブなイメージを持っている方は、今回のZX100も喜んで買うと思いますし、それは決して間違ったことではありません。

 

ただ、そんな状況を打破するためには、ラインナップ戦略、全体最適、大衆受けといった従来の価値観を見直し、ソニーの価値を高める、ソニーらしい製品を作るしかないと思うのです。

 

ただこのように言うと

「それは大きい会社ではなかなか難しいよ」

そんな声が聞こえてくるのが、今の日本の悲しいところでしょうか。

 

こんな風に書きましたが、結局はZX100もたくさんのソニーファンのおかげで、発売されてみれば「なかなか音が良い」みたいな評価で固まるのではないかと予想しています。

 

※追記2016/3/4

コメントも頂きましたが、結果としては、音質もそこそこながら長時間再生できるのが良い!という評価に固まりつつありますね。

やはり大ヒットとはいきませんでしたが、確実にニーズのある商品だったことは記事を書く上で反省すべき点でした。

 

P.S.

個人的に今回のソニーの発表では「CAS-1」が気になってます。

ちょっと欲しいかも…。

www.phileweb.com

 

 

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