ミュージシャンはいつまでCDなんて売るんだろうか?
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今回はこれからのミュージシャンについて考えてみたい。
考えるきっかけをくれたのはこの記事。
記事の内容はホフディランの新曲の無料ダウンロードを宣伝するもの。
すごくためになる!とかそういうものではない。
むしろその逆で、鋭い考察も展望も無いことに驚いてしまった。
記事の中で語られている内容は
- CDが全然売れなくて困った
- 音楽定額サービスってめっちゃ便利
- 便利になったけどますます儲からなくなるわ
というようなもの。
そんなジリ貧の音楽業界の中で、ホフディランとしても危機意識を持って新曲の無料ダウンロードに挑戦したようだ。
その経緯を次のように語っている。
「ただ、たくさんの人に聴いてもらいたいという原点に帰ると、無料で出してみたら何かが変わるかなと思って……。」
特に何か"策"があるわけではないらしい。
正直、これを読んで「マジかよ」と思ってしまったのだけど、同時に「やっぱりか」という気持ちにもなった。
実はこの記事を読む前から既にホフディランの無料ダウンロードは試していた。
今回の無料曲を入手するためには「多摩川新聞」というホフディランのメルマガに登録する必要がある。
問題はそのメルマガの内容が絶望的に絶望的だったことだ。
どんなメルマガがくるのかな?と楽しみにしつつ「多摩川新聞」を見てみると、ひたすらホフディランが主演するイベントの日程が書いてあるだけ。
そんな内容のメールが5通ほど連続したところで「此れスパム也」と判断し「多摩川新聞」の購読を解除した。
無料ダウンロードと引き換えにメルマガに登録してもらうというのは、とても良いアイデアだと思う。今までホフディランに興味がなかった人にも、その存在を気軽に知ってもらえるチャンスだ。
しかし残念なのは、知ってもらった後。
これからホフディランとの関係性を深めていくために重要なメルマガが、スパム同然の内容ではせっかくの新規ファンの心も離れていくだろう。
そんな調子で「多摩川新聞」の存在を知っていたので、ホフディランの無料曲にビジネス的なアイデアが無いというのは「やっぱりか」だったのだ。
勘違いしないでほしいが、別にホフディランを貶めたいわけではない。(曲はとても良かった)
問題は目の前にたくさんのチャンスがあるのに「CDが売れなくて困ったなぁ」というところで議論が止まっていることなのである。
ミュージシャンはいつまでCDなんて売るんだろうか?
この問いが意味するところは、音楽ソフトの未来でもなく、CD vs サブスクリプションの議論でもなく、オリコンチャートの是非でもない。もっと根本的な問題だ。
もう1曲いくらと値段をつけて売るビジネスは終わった。
つまり「CDを売る」というビジネスは終わってしまったということなのだ。
問題は「CDをいかに売るか」ではない。
どうすれば「CDを売らずに食えるか」を真剣に考える時なのだ。
「馬鹿を言うな、ミュージシャンがCDを売らずして何を売るのか?」
と思う方もいるだろう。
もちろん、ミュージシャンが売るものは"音楽"だ。
しかしそれはさらに"関係性"というものに変化しつつある。
あなたが最近買った音楽について考えてほしい。
それはどんな理由で買っただろう?そこにはどうした繋がりがあっただろう?
あなたが買ったのは純粋な"音"だけではなかったはずだ。
この世の中にはすでに一生を懸けても聴き尽くせないほどの音楽がある。
それでもなお新しい音楽を買う理由なんてあるだろうか。
このクエスチョンは先に紹介した記事の中でも語られている。
その答えこそ、ミュージシャンとの関係性ではないだろうか。
「同じ時代で悩み生きている」だからこそ繋がれるのだ。
繋がれるからこそ、その音に心を打たれるのだ。
ミュージシャンは何で食うか?という問題のヒントは関係性にある。
そういった意味で、ホフディランが私に送ったメルマガはやはり失敗なのであって、それはつまりまだまだ改善の余地があるということだ。
関係性について学ぶのであればAKBほど素晴らしい例は無い。
握手券を売るAKB商法は、CDを売りながら同時にファンとの関係性も販売している点が凶悪だ。世間的には飽きられつつあるのにあれほどCDが売れるのは、1度構築した関係性というものがいかに強力であるかを証明している。
批難されるAKB商法だが学ぶべきところは実はたくさんある。(もちろん反吐が出るようなこともしている)
着目してほしいのは、どうしたら「コアなファン」と数多く繋がっていけるのか、そしてそのコアなファンに喜んでもらうには何ができるか、ということだ。
そのことを真剣に考えてほしい。
その視点に立つことができたとき、ミュージシャンは「CDが売れない問題」から解放されるのではないだろうか。
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