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【コラム】ヘッドフォン祭で分かった「これからのイヤホン」の話

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ども。すぎやまです。

今回のヘッドフォン祭、とても楽しかったですね。

終わってしまった寂しさから、ちょっとした「祭ロス」状態になっております。

 

まぁ出展されてた製品の感想なんてネット上に溢れてるでしょうから、ワタクシとしては「今後のイヤホンどうなるの?」っていう予見を書いてみたいと思います。

 

隆盛を極める「ハイブリッド型」の今後

とにもかくにも人気の高い「ハイブリッド型イヤホン」今回のFITEARの参戦で盛り上がりはピークに達したと言えるでしょう。

 

カスタムイヤホン座談会によると、ハイブリッドカスタムを出していないJH Audio、Westone、Nobleといった海外メーカーは今のところハイブリッドに関心は無いようです。

 

やはりハイブリッドは設計や制作が複雑で、今までの開発ノウハウを充分に活かせないところが二の足を踏む原因のように思います。(その点、1からコンデンサーイヤホンを設計したSHUREは素晴らしいですね)

 

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ハイブリッド型がこれほど流行したのは「分かりやすいメリット」にあると思っています。つまりダイナミックの良い部分とBAの良い部分を「イイトコどり」しちゃおうということですね。

 

とはいえ市場に出回っている有象無象のハイブリッドイヤホンを見ると、どれも「イイトコどり」どころか「どっちつかず」になってしまっているように思えます。「え?これってダイナミックが入ってるの?分からなかったわ。」って感じですね。

 

そんな中、ハイブリッド型で成功するための秘訣は、「イイトコどりではなく、どちらかのドライバーを活かす設計思想」なのだと思います。

 

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例えば大人気のJustEarは、13.5mmという大きなダイナミックドライバーをウーファーにすることで音に特徴を出しています。当初はダイナミックだけのカスタムも検討したそうですが、結果的にハイブリッドという方向に落ち着いたようです。

 

FITEARの新製品「Air」も同様で、こちらはウーファーにだけ使われることの多いダイナミックをドライバーをフルに活用し、足りない部分をBAで補うという設計になっています。この設計については「他社がやっていないこと」という考えで思い至ったそうですが、実物を聞いてみるとなかなかに面白く、人気が出るだろうなと思わされました。

 

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今後のハイブリッド型は、イイトコどりではなく「どちらかを活かす設計」というのがポイントになりそうな気がします。ハイブリッドにはまだ色々なやり方がありそうなので、今後も楽しみなカテゴリーですね。

メーカーもドライバー数で競わなくて良いので、比較的安く良いものが出てくるのではないでしょうか。

 

イヤホン業界は「PS4」を見習うべき

ハイブリッドイヤホンという非常にミクロな観点の話をしたので、次は「イヤホン業界」という少しマクロな話をしてみます。

業界として1つ大きなニュースといえば、SHUREが発売する「KSE1500」という36万円のイヤホンシステムでしょう。

 

「果たして音楽を聞くイヤホンに36万円はどうなのか」この疑問を考えずにはいられません。

もちろん、この製品がポッと出てきたメーカーがネタで作ったものだったら、そこまで考える必要もないと思います。しかし発売するのはSHURE。イヤホン業界では間違いなくトップ集団にいるメーカーです。そんなメーカーが「超高価格戦略を取ったことは、注目する必要がありそうです。

 

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問題はそれだけではありません。

端子の規格にも乱立が見られます。最近ではオーテクやKlipschが相次いで独自規格のケーブル端子を発表しました。バランス接続の端子も規格が数多く存在し、ユーザーはいくつものケーブルを用意する必要に迫られています。

 

このようにイヤホンのマニアック化が進む状況は、ライトユーザー離れを引き起こしかねません。短期的にはマニアが喜ぶ状況が続くかもしれませんが、長期的に見れば市場を小さくしてしまうのです。今のピュアオーディオ業界を見れば、その結果は一目瞭然でしょう。

 

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今のイヤホン業界が抱える問題はプレイステーション3時代のゲーム業界に似ています。

  • ハイスペック追求による価格の異常高騰
  • BDとHD DVDのような業界内での規格乱立
  • ライトユーザーを軽視した複雑な操作のゲーム

結果としてPS3PS2の半分程度しか販売できず、ソニーのゲーム部門は赤字に悩まされることになりました。この問題はソニーだけに留まらず、 開発費高騰についていけなくなったゲームメーカーの倒産や合併を招いたのです。

 

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ではソニーPS3での失敗をPS4でどのように改善したのでしょうか?

  • スペック競争から開発環境重視へ
  • 独自規格ではなく汎用的な規格を採用
  • ゲームシェア機能によるライトユーザーの獲得

 

この3点にはイヤホン業界が学べることがありそうです。

 

今のイヤホン業界には「スペック競争はもう止めたいなぁ」という流れは、既にできつつある気がします。ただドライバー構成を非公開してスペック競争を止めようというのは、少々強引な手法のように思えます。音で勝負したいということであれば、もう少し違った手法でアプローチしてほしいものです。

 

乱立する規格はどうすれば良いのでしょうね?理想としては何らかの団体を作って、そこで国際的に規格を統一できれば良いのですが…。マーケットの規模からしてちょっと難しいかもしれません。ここは大きなメーカーに旗を振ってもらうしかないのです。ソニーSHUREにしっかりやってほしいところですが、現状うまくいきそうもありませんね。

 

規格を統一しろという声をもっとユーザーから発信する必要もありそうです。

 

 

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残る問題はライトユーザー獲得です。それについてはPS4の事例がとても参考になります。PS4では複雑化するゲーム操作を簡単にするのではなく、「ゲームプレイをみんなで観られる」という機能でライトユーザーの取り込みを行っているのです。これならゲームが得意でない人も楽しめますし、どうやったら上手くなれるのか参考になります。

 

ではイヤホン業界は、どうライトユーザーを獲得すべきでしょうか?確かにエントリーモデルを出すというのも1つの手だと思います。しかしそれは複雑なゲームの操作を簡単にしようという発想と変わりません。

 

ワタクシが思うのはハードユーザーからライトユーザーまで、いろんなイヤホン好きが集まれる「コミュニティーがあったらどうだろう?ということです。

 

ハードユーザーは手持ちの機種の音質や組み合わせについて語り、ライトユーザーはそれを参考にしたり質問したりする。そんなことができたら、イヤホン業界はもうちょっと上手くいくんじゃないかなぁと思っています。

 

この「コミュニティー」は話題が単発的なTwitterではうまくいかず、製品レビュー中心の価格コムでは不十分です。うーん、やっぱり作るしか無いのかぁ。お金かかるなぁ。

 

ということで以上、これからのイヤホンのお話でした。

 

P.S.

ハイブリッドと同じく「コンデンサー型」も注目の手法ですね。次のカスタムには静電ドライバーが乗っかるのかもしれません。でもアンプもセットで作れるメーカーじゃないとなぁ〜。

あ、SHUREのアンプを流用すればいいのか…

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